10月 17, 2018
近い将来、世界中の話題をかっさらうであろう最新テクノロジー、eSIM。実は、スマホの未来を変えてしまうほど画期的なものなんです。
それって何?どんな仕組み?どう便利になるの?そんな疑問に答えていきましょう。
eSIMってなに?
eSIMと聞いてあなたはまずeはElectricalのeだろうなと思いませんでしたか?電子的なSIMかな?と想像する人は多いと思いますが残念ながらそうではありません。eは”embedded(=埋め込まれた)”の英単語の頭文字からきています。そう、読んで字のごとくeSIMとは、デバイスの回路にはんだ付けされて埋め込まれたSIMのことを指します。何でそんな事するの?と思いますよね。その疑問を解消するためにまずは通常のSIMとはどんなものなのかを改めて見てみましょう。
携帯にはSIMカードっていう名前の物が入っている、ということは多くの方がご存知ではないでしょうか。携帯を動かすための必需品であり、海外で現地キャリアのネットワークを利用するときなどにもSIMカードは必要不可欠です。
SIMは、 Subscriber Identity Module(加入者識別モジュール)を意味し、デバイスを認証し、加入者が属するネットワークにアクセスするのが主な役割です。
eSIMも機能ではほとんど普通のSIMカードと変わりませんが、普通のSIMカードと違って取り外したり取り替えたりすることが出来ないという点で決定的な違いがあります。
どんな仕組み?
ここでは、専門的な技術面での仕組みでは無く、一般のユーザーにとってeSIMがどのように働くのかをご説明します。実際の役割としては機器を認証し、ネットワークに繋げるという点では通常のSIMカードと大差はありません。
大きな違いの一つとしては、eSIMはプログラムレベルで機能しているので、リプログラムする事も可能であるということ。ネットワークは直接eSIMを認識します。また、eSIMはソフトウェアにアップデートがあった場合に即座にソフトウェア更新を行い、常に新しいメリットをもたらします。
メリットは?
この最新のテクノロジーがもたらしてくれる利点について見てみましょう。
- 機種変更など携帯を変える時にSIMカードを移し替る必要がない
機器が変わろうと物理的にSIMカードを移し替える必要がありません。また、場合によっては新しいSIMカードが有効化(アクティベート)されるまで待たなければいけないという事態も起こり得ません。また、機器そのものにeSIMが組み込まれているので初期設定も容易になります。
- 通信環境を比べてより良いネットワークへ簡単スイッチ
携帯の設定を変えるだけで利用するネットワークを切り替え出来ます。1つのサービスだけに縛られることはありません。
- 旅行でもSIMを変えなくて良い
eSIMではその土地のネットワークに直接アクセス出来るので滞在期間に合わせてローカルのプロバイダーの利用者となして臨機応変に最適な通信環境を選ぶことが出来ます。現地のSIMカードを買いに行ったり、自分のSIMカードを紛失してしまう心配は要らなくなります。
海外旅行時にもっと通信費を節約するにはWifi callingを利用するのが得策です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
- 簡単に複数の電話番号を持つことが出来る
これまで2つの電話番号を利用するには機器が2台必要でしたが、eSIMなら1台の機器で簡単に切り替えることが出来るので仕事とプライベートの使い分けもスムーズです。
- 小さな携帯にもっと機能を
SIMカードが入っていたスペースが物理的に空くのでデベロッパー達にとってはそのスペースを有効に使える大きなメリットが生まれます。携帯がより薄くなったり、新たな機能を追加されたりと活用方法が広がり、バッテリーの寿命も延びる可能性もあります。
- 管理しやすくデータ消去や復元もより簡単に
eSIMを使うことによってデバイスからデータへのアクセス、マネジメント、消去、復元がリモートで簡単に出来るようになります。
- よりたくさんのキャリアを選べてお得に選べる
ユーザーが手軽にキャリアを変えられることによって小規模の通信業者の利用率が上がり、業界全体の競争が促進され、通話料やデータ通信費の価格低下に繋がります。
- Internet of Things(モノのインターネット)
モノのインターネットにおいてのメリットはとてつもなく大きく、複数の機器に使用されているエレメントのプログラムにアップデートがあった場合、1つ1つのユニットに出向いてアップデート作業(SIMの取り換え)をしなくてはならない物が、eSIMを使うことによって遠隔で一気に行えるようになります。
デメリットは?
ひとたびeSIMが水平展開されればデメリットはさほどありません。懸念事項としてはキャリアの切り替えを行う際にキャリアへ連絡しなければならないという面倒な作業が発生する可能性があるという点ですが、その部分においてはキャリアが手続きを簡素化すると予測できるため大きな手間にはならないという見方も出来ます。
ヨーロッパでも使える様になる?
はい、実は広く認識されていないだけで2011年から既に導入されているんです。アップルウォッチや最新のiPhone XS and iPhone XS Max、2017年後半に発売されたGoogle’s Pixel 2でもeSIMが採用されています。ヨーロッパを含む世界中でeSIMが標準のサービスとして認知されるのは時間の問題でしょう。
eSIMによって携帯のデザインは変わる?
SIMカードを入れるスペースがいらなくなるので将来的には携帯がより薄くなったり新たな機能が加えられたりする可能性があります。期待されているのがバッテリー寿命の改善ですがこの辺りはまだ未開発であるため今後の動向については注視していく必要があります。
デバイスの使い方はどのように変わる?
大きな変化としては、機種変更や携帯を新規で購入した時にSIMカードを抜いたり入れたりしなくなるというところ。eSIMは自動的に認証作業を行うのでセットアップも簡潔・スムーズ。旅行好きの人には更に朗報。行く先々で現地のSIMカードを買って差し替える手間が省けて、滞在する日数だけローカルプロバイダーの通信ネットワークを利用することが出来るようになります。
Embedded SIM – 未来への可能性、でも今はまだ・・・。
近い将来必ず普及するであろうeSIM。でも今はまだその段階には至っていません。なので旅行中に通信環境を妥協したくない人はこちらをぜひご利用ください。いつでもどこでも無制限の高速インターネットを旅するあなたのお供に。