10月 14, 2018
少し前までは飛行機に乗る時には全ての通信機器の電源を切らなければなりませんでした。離陸や着陸の際には通話をする事も出来ませんでしたよね。
ですがここ数年で多くの航空会社がこの規制をゆるめつつあります。さらに一部の航空会社では機内Wifiを提供しています。
あなたはフライト中にFacebookのフィードをチェックしたりLINEでチャットを楽しんだりしたこと、ありますか?海外旅行へ行く途中、”雲の上なう”なんてツイッターで呟きながら「あれ?なんで空の上でも繋がるんだろう」とふと疑問に思ったことはありませんか?ここではそんな不思議な機内Wifiの仕組みをご紹介します。次に飛行機に乗ったときには全てを知っているって良いですよね。
どんな仕組み?
その方法は大きくわけて2つあります。まず1つ目は地上の電波塔から送られてくる電波を機体の下部にある装置で拾い上げる方法。このシステムにより機体はWifiスポットとなり、その機能を発揮させることが出来るのです。そしてあなたが送信するデータは飛行機から地上へと送り返されているのです。
飛行機は飛行しながら、一番近くにある電波塔を察知し、次から次へと電波塔をスイッチしながら進んでいきます。それは正にあなたが街を歩きながらシグナルが強いWifiスポットを探すのと同じです。より強い電波を見つければスマホは自動的に接続先を変更します。飛行機はその巨大バージョンと言えます。フライト中に電波を探し、見つけては切り替え、データの送受信を行っているのです。
- 機内に設置されたWifiアンテナが乗客の通信シグナルをキャッチします。
- シグナルが機体のサーバーに送られます。
- 外部アンテナがシグナルを(地上のアクセススポットと交信している)衛星に送る
- 地上の電波塔の圏内に入ればシグナルが送信されます。フライトが密集する航路やハブ空港エリアなど、飛行機が集まるエリアではより多くのシグナルが送信されるので地上の電波塔のカバレージもより大きなものになります。
- 地上に送られた情報は”meet-me-point”を経由して各所に送信されます。
海の上でも大丈夫?
このシステムの弱点は海の上や人里離れた陸地を航行するとき、通信可能な電波塔が地上に存在しなくな
通信出来る電波塔が無くなったら機体は衛星を使う方法へと切り替えます。衛星は飛行機がどれだけ動いても一定の距離から電波を送受信してくれるようになります。
この方法は言わば、地上の電波塔が空にあるようなもので、飛行機が動いたら一番近い衛星と飛行機のアンテナ(この場合は機体上部に設置されているアンテナ)で通信します。このシステムの場合、乗客から送られたシグナルは直接地上の電波塔に送られるのではなく、一旦上空の衛星に送られてから地球に送り返されることになります。
なぜ通信速度が遅いの?
機内Wifiをいち早く提供し始めたのはGogoという会社です。1番最初のiPhoneが発売された翌年の2008年に初めてVirgin America Flightがサービスを開始しました。この頃はまだスマートフォンを持っている人すら少なく、ましてや機内でインターネットが必要な人もほんのわずかだったため、通信速度は3Mbpsで十分でした。
ところが次の10年で状況は一変し、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンを持つ人が圧倒的に増え、機内でのインターネットの需要も高まっていきました。インターネットに接続したらメールを数回送るだけはニーズを満たしているとは言えず、乗客は映画を見たり、ゲームをしたり、時には国際通話を必要とするようになったのです。
こうなると、ご想像通りの問題が発生しました。特に衛星を使うWifiシステムでは衛星を改良するのに地上の電波塔を使うシステムよりも莫大な費用が必要で、需要に供給が追い付いていない状態なのです。実際、機内のWifiサービスは家庭やオフィスで使うものと比べれば非常に遅く感じてしまうのが現実です。機内でWifiを使う人の多さも問題の一因となっています。
費用はいくらかかるの?
機内Wifiは無料で提供されている場合もありますが、想像よりも高くつくこともあります。
地上での日常生活においてバーやレストラン、ホステルなどでは当たり前のように無料でWifiが提供されているのに我々は慣れてしまっています。ところが一部の高級ホテルでは宿泊客に不当に高い料金を請求するケースもあります。
飛行機では法外な費用が発生することはありません。先に触れたように衛星システムのセットアップやメンテナンスは途方もない費用がかかる上、機体の上部と下部に設置する機器は風の抵抗を増やしてしまい、燃料を食ってしまいます。これらのコストは言うまでもなく飛行機のチケット代に反映され、乗客が負担することになります。それ故に機内Wifi対応のチケットは必然的に高額になってしまうのです。現在、北アメリカのインフラが最も優れており、ヨーロッパが追いかけている状況です。
将来、このサービスはどうなる?
機内Wifiの技術は日々進歩しています。Gogoはより早く安定した通信を提供すべく2Kuサービスの開始を模索しています。徐々にではありますが、最適な条件下においては70Mbps(地上システムよりも遥かに早い速度)を提供できるようになると主張していますが、現時点でGogoが提供しているサービスはこの値とは程遠いものとなっています。
ヨーロッパでは Deutsche Telekomと InmarsatがNokiaと協力してEuropean Aviation Network(ヨーロピアンアヴィエーションネットワーク)を開発しています。このネットワークは全てのEU加盟国に加えてスイス、ノルウェーでも機内Wifiのキャパシティを高めて提供しようというサービスです。
このネットワークシステムでは地上の電波塔と衛星の両方を使うというものですが、まだまだ初期段階にあります。とは言っても一部のヨーロッパのエアラインではEuropean Aviation Networkを採用しています。詳しくは下のリストをご参照ください。
手短に言うと、機内Wifiシステムの発展には多額の投資がされており、今後数年間でより早く、安定した通信を我々が使えるようになる見込みなのです。近い将来、飛行機に乗ると世間の動きから隔絶されるなんていう常識は過去の話になるかもれません。
旅先でも繋がっていられる
機内Wifiの恩恵を受けるか受けないかは別として、飛行機が着陸したら地上では快適なスピードで安定したインターネット通信が必要ですよね。あなたの旅のお供に必要なポータブルWifiはこちらでチェックして下さい。
機内Wifiを提供している航空会社一覧
こちらは既に機内Wifiサービスを提供している航空会社のリストです。
- Air Lingus**
- Aeroflot
- AirAsia
- Air Canada
- Air China*
- Air Europa
- Air France
- AirTran
- Alaska Airlines
- Alitalia
- All Nippon Airlines
- American Airlines
- Ana
- British Airways**
- Cebu Pacific Air
- China Eastern Airlines
- Delta Airlines
- Egypt Air
- Emirates*
- Etihad
- EVA Air
- Finnair
- Garuda Indonesia
- GOL Linhas Aereas Inteligentes
- Gulf Air
- Hong Kong Airlines*
- Iberia**
- Icelandair
- Jal
- JetBlue*
- Lufthansa**
- Libyan Airline
- Malindoair
- Mango Airlines
- Nok Air*
- Norwegian*
- Oman Air
- Philippine Airlines (PAL)*
- Qatar Airways
- Ryanair
- SAS
- Saudi Arabian Airlines
- Singapore Airlines
- Southwest Airlines
- TAM
- TAP Portugal
- Thai Airways
- Turkish Airlines*
- United
- US Airways
- Vietnam Airlines
- Virgin America
- Vueling**
- Westjet
*一部のサービスで無料でWifiを提供している航空会社
**一部のサービスでEuropean Aviation Network(ヨーロピアンアヴィエーションネットワーク)に接続している航空会社